8/29/2016

平凡な日本人がアメリカで博士号を取得するためのコツ ICFモデルを用いて


留学したいっていう相談も時々受けます。

絶対、行った方がいいよーと返します。

一方で、手放しでおすすめできない。

何故か?

私の場合、あれこれ恵まれすぎるほど恵まれてたからできたことであって、

みんなが私と同じ条件で留学生活を送れるとは思えない。


アメリカの博士課程に入った学生のうち、学位が取れるのは50%。

実際、アメリカ人がドロップアウトするのを2回見ました。



なので、忘れないうちに、博士課程を生き抜くコツのメモ。



リハビリに関る人たちにとって、患者さんをとらえる基本スキーマである

WHO International Classification of Functioning, Disability, and Health (ICF)

を使って説明してみます。




Health condition
自分の状態 パフォーマンス

コツ:以下の項目 全部。



Body functions and structures 
頭の良さ、学習能力

コツ:留学するって思い立って急に頭よくなるわけではないので、あきらめる。

   ただし、英語だけはゴリゴリ勉強する。



Activity
研究とか教育とか、大学院でのアカデミックな活動全般

コツ:自分のプロジェクトにまず集中。余裕がある時だけ人のプロジェクトに参加。

   超多忙な大学院生 興味あるからって全部手を出すと自爆します。
  


Participation 
社会活動への参加

コツ:Activityに多少余裕がでたら、

   人の集まる場に顔を出たりして、全く違うバックグラウンドの人の話を聞く




Environmental factors 
環境因子 これが二番目に大事
コツ:①人    指導者、家族、職場、同期学生、友達に恵まれる

   ②住環境  ほっとできる、かつ集中できる環境

   ③お金   自分のプロジェクトに集中するために研究資金とか奨学金を得る



Personal factors 
個人因子 これが一番大事 結局は自分の強さ
コツ:①運動    毎日10-15キロラン+ヨガ
  
   ②食事    自炊。一時、すんごくストイックだった時はビーガンでした。

   ③メンタル  物事は思い通りになんかならない ポジティブにとらえちゃう。

   ④継続    ストイックにやり続ける



特に環境因子は、自分の努力だけで何ともならないことが多いから、


だから 人に留学を勧めるのを躊躇しちゃう。


でも、それでも最高峰でやってやるぜーって言う人がどんどん出てくるとよいです。



  









英語の勉強法

よく聞かれる質問なので、お答えメモ。


留学準備期間

目標:大学院に合格する
やったこと:

・朝起きてすぐ、CNNつける

・家を出て駅までの間でNHKワールドを聴く

・電車に乗ったらとにかくTOEFL の単語覚える

・電車を降りたらTOEFL のリスニング

・職場についたら勉強やめ。

・夕方職場を出たら図書館に直行し、TOEFL の問題集

・図書館を出たら朝と逆のルーティンで家まで

・寝るまでCNN

で、また翌朝。。。



留学後
目標:大学院で生き残る
やったこと:
・朝起きたらボストングローブ読みながらご飯

・リーディング ファースト まずはがつがつ読む 論文と教科書ばっかり

・ライティング ネクスト がつがつ書く レポートとか研究計画とかIRBとか。

・で、リスニング トレッドミルしながらCNN見たり

・最後にスピーキング プレゼンの練習をがつがつやる


でも、何より大事なのは、日本人の友達を作らないこと。

最初の3年は、日本人の知り合いはほとんどいなくて、

日本人コミュニティーからもあえて遠ざかってました。

アメリカ人と毎日話すことが、しかもいろんな話題で話すことが何よりの練習。


帰国後
目標:英語力の維持
やってること

・週1でボストンの友人とオンラインカンファレンス

・論文は書くのも読むのも英語だけ

・学会発表も英語だけ

・通勤中のCNNとNHKワールド+TEDmed を You tube で


でも、まーだまだ英語力足りなくて、一人で論文かけるとこまではいってない。

続けたらもっと上達するはずだし、やめて日本語の楽な世界に安住しちゃえば

落ちる一方だと思う。









7/02/2016

Dissertation defence 終わり

7月20日、ついについに、博士課程の最終審査プレゼンを終えました。


そして、渡米からきっかり5年後の7月25日、日本に戻ってきました。


あれからあっという間に1ヶ月が経ってしまったけど


今でもまだ、学生生活を終えるという実感がないなー。



学位審査委員は、主査1名と副査3名の合計4名。


ボストン大学の場合は、


どんな分野のエキスパートから見ても納得されるPhDを排出するため


主査と副査は自分の学科の教授から、


あとの2名は学部外、うち1名はさらに大学外の博士号を持つ研究者に依頼します。



各委員とは、研究のデザイン段階から、細かく相談しながら進めます。


前にも書いたけど、prospectus といって、


研究計画がまとまったところで審査委員の先生の前でプレゼン審査(これが厳しい)。


これに通って初めて、最終研究に取りかかります。


実験をする途中で困ったことが出てきたら、いつでも委員の先生に相談できます。



私の場合は、主査はワールドクラスのSLP、


副査は若手気鋭のSLP、


第三読者はボストン大学公衆衛生学部生物統計学の教授、


第四読者は日本の職場の耳鼻科医師、というラインナップ。


審査委員は学生にとっていわばライフラインなので、


自分が最終研究をする上で困らないような、頼れる専門家をお願いするのが必須。



今回の口頭試問前には、指導教官が審査委員の教授陣宛に、


学生の研究に重大なミスがあった場合には、


事前にアラートを出してくれるようにメールをしてくれていました。


こんな事情もあって、


多少、心を落ち着けて審査に臨めた感じです。



当日は、夏休み期間中ということもあって、参加者は少なめだったけど、


学科の教授陣や博士課程の学生など20人くらいがプレゼンを聴きに来てくれました。


公開プレゼンの後は、審査委員と4対1で質疑応答。


で、最後に判定。


無事に合格。


すぐ当日に指摘を受けた点を直して、論文も提出してきてしまいました。



とりあえず、口頭試問の様子の覚え書き。
















PhD quality

頑張りすぎて、ちょっと気が抜けてたら二日連続で寝坊。




今朝ほど、オンラインカンファで


担当教授からの指導がすべて終わりました。


これから共著者としてcontribute することはあるだろうけれど、


defense が終わったら you are on your own. と言われました。


過去の5年間が思い出されて、また涙。




でも、結局最後まで、手をかけてもらいっぱなしで、


質的にon my own にはなれてない。


英語はいまだに超直されるし、査読者から戻されるコメント見て、


ほんとにどう返事をしていいか分からない時も多くて指導を仰いでしまうし。




あと2週間あがいてみるけれど、


もし、不合格だと言われても納得します。


まだまだなのは確かなので。





6/25/2016

博論 完成間近

帰国して、初めてブログ書いてます。


2014年12月末に帰国してから、ざっくり言うと忙しかった。




フルタイムの臨床に戻って、毎日が忙し楽しくて


中には何人か、モーレツに勉強しながら一緒にリハをした患者さんもいて、


結局、自分をやる気にさせるのは、臨床なんだなーと痛感。



同時に博士論文プロジェクトを始めたらもう、自分の時間なんてない。


でも、久々このブログを開けて、アメリカ時代の記録をちらちら読み返してみると、


やっぱりアメリカでの生活の方が圧倒的に追い込まれ感が高い。


きつかったなー、もうやりたくないな。




でも、アメリカには帰りたい、ということで、


2015年3月、DRSでシカゴへ。オーラルプレゼン。

シカゴリバー セントパトリックデーのため緑に染色
TED も みどり

シカゴピザ ぶ厚い


6月にASHAのトレーニング選抜に選んでいただいたのでメリーランドへ


ASHA 本部

でもって、NYの乗継でこんなボードを見てしまう。

NYの乗継で発見

ああ、これ乗ったら1時間でボストン行けるのに。。。

仕事が待ってるのであえなく帰国。



たまらず9月にボストンへ里帰り

大学院でDRSのアブスト作ったり

いつものチャールズ川沿い 走ったり


ちょっと半年空いて、

2016年3月 アリゾナ DRS ポスタープレゼン 2演題

会場からの眺め

というように、ちょこちょことアメリカで息抜きをしながら日本人生活をしてまいりました。




そしてついにつに、博論完成間近。
書き終えて、指導教官のOKが出て、

今、最後の誤字脱字チェックを友達がしてくれていて、

それが返ってきたら図書館のスタッフに出して、フォーマットチェックをうけて、

コミティーの先生方に送付!という流れ。

もうここ数ヶ月、ゆっくりと寝たのは学会期間中くらい。

今日からdefense のプレゼンを作り始めました。

いろんなことを思い出して、つい涙が出てきたり。

泣いても笑ってもあと1ヶ月。

頑張りますー